1年を通して、朝、夕の搾乳、牛舎清掃を毎日行う。搾乳量は、1頭平均だと1回の搾乳で12〜13kgの乳が出ている。15kgくらい出る時もある。1回の搾乳で牛舎の全ての牛で500kgくらい、朝、晩の搾乳で合わせて1トンくらい絞っている。2日で2トンくらい。生乳は2日に1回、約2トンを集荷する。
冬は除雪と、貯蔵してある餌を朝、夕に牛に食べさせる作業があり、11月から4月末までの6ヶ月は、毎日やる。朝の搾乳後、日中は牛舎の外に牛を出して運動させる。雨の日でも吹雪でも、屋根とコンクリートの壁があるので、冬でも牛を外に出す。牛も外に出してもらえると思って搾乳後待っている。出さないと乳量も落ちる。若牛は年柄年中外に出っぱなしで牛舎に入れても1時間とか2時間とか。ホルスタインは寒さに強いので、氷点下20度くらいでも全然問題ない。朝の作業で、夫婦二人で朝5時30分頃から始めて、4時間程かかり、朝、昼、夜の作業は二人でぎりぎりのレベル。
5月頃から放牧が、6月からは牧草の収穫が始まり、収穫した牧草はサイレージ(※1)にする。1番牧草の収穫は7月いっぱいで終わる。9月、10月は2番牧草を収穫し、ラップをかけて保管する。デントコーンを撒く農家は(※2)、5月20日頃に種を撒き、10月初旬頃までに収穫を行う。牧草は2番の収穫まで。3番まで牧草をとると、翌年の春に影響を及ぼすので、慎重に考えなければいけない。1番牧草は糖分が高く、牛の嗜好性が良い。2番牧草は夏の暑い時期に一気に伸びるので、見た目は量があるが、寒さに我慢して伸びていないので糖分が少なく、牛の嗜好性が少し悪くなる。2番牧草はラップフィルムで巻いて保管する農家が多い。サイレージにしてもあまり牛の食いが良くない。この牧場で食べさしているサイレージは1番牧草。2番牧草は、乾きもあまり良くないので、敷き藁にしたりラップをかけて保管したりする。そうしておけば、若牛に持って行って食べさせるなどができる。
これらの作業に、牛のお産が入る。お産は夜が多いので、夜に起きてやらなくてはいけない。夜12時とか1時とか。お産は春に限らず、人工授精なので、時期はあまり関係ない。ここでは、どちらかというと、春より秋の方が多い。春に産ませてコストをかけないで青草で育てて乳を絞るのが一番いいが、上手くタイミングが揃わなければ、だんだん時期がずれてきてしまう。牛を外に出している間に、発情している牛は乗りあいっこしたりするので、そういうので見つける。冬でも外に放すことで、発情している牛がわかる。運動させないとそういうタイミングも見つけにくくて、分娩が伸びていってしまう。出産後、搾乳量は次第に落ちてくるので、分娩間隔は1年に1回が良いといわれている。ここでは、運動させるから割といいほうで、概ね1年に1産。
※1)家畜用飼料の一種で、飼料作物に乳酸菌を混ぜて発酵させたもの。上手に発酵したサイレージは豊富な有機酸が含まれ、家畜の良好な肥育に重要なものとなる。
※2)お話を伺った農家では、デントコーンの栽培は行われていない。 |